《灰色のガンダルフ》の使い方を考える【指輪物語 - 中つ国の伝承 新カードレビュー】

カード情報

灰色のガンダルフ

Gandalf the Grey

マナ・コスト {3}{青}{赤}
タイプ 伝説のクリーチャー - アバター・ウィザード
テキスト

あなたがインスタントやソーサリーである呪文を唱えるたび、以下からまだ選ばれていない1つを選ぶ。

パーマネント1つを対象とする。あなたはそれをタップまたはアンタップしてもよい。
灰色のガンダルフは各対戦相手にそれぞれ3点のダメージを与える。
あなたがコントロールしていてインスタントやソーサリーである呪文を1つを対象とする。それをコピーする。あなたはそのコピーの新しい対象を選んでもよい。
灰色のガンダルフをオーナーのライブラリーの一番上に置く。







超初心者向け解説

古典的なコントロールのフィニッシャー

《灰色のガンダルフ》は古典的なコントロールデッキのフィニッシャー・カードとなりそうな1枚です。

そもそもコントロールデッキというのは、相手の行動を妨害し続けてゲームを長く生き延び、ゲームの終盤に強力なカードをプレイすることで勝利するデッキのこと。

具体的には、相手が召喚してきたクリーチャーを尽く除去したり、打ち消し呪文でコンボを邪魔したりという妨害を繰り返すのがコントロールデッキというわけですね。

そしてこの"ゲームの終盤にプレイする強力なカード"のことを「フィニッシャー」と呼ぶわけです。

《灰色のガンダルフ》もフィニッシャーとしてコントロールデッキで使用するのが基本になりそうです。



それぞれの選択肢の使い道

以前のMTGでは《謎めいた命令》というカードが盛んに使用されていました。

謎めいた命令

インスタント {青}{青}{青}{青}
以下から2つを選ぶ。
呪文1つを対象とし、それを打ち消す。
パーマネント1つを対象とし、それをオーナーの手札に戻す。
対戦相手がコントロールしているクリーチャーをすべてタップする。
カードを1枚引く。

このカードは4つの選択肢から2つを選んで使用するという、柔軟性に大変優れたカード。その柔軟性ゆえに使い手のテクニックが反映されるカードでもあり、「《謎めいた命令》の使い方でプレイヤーとしての技術が分かる」などと言われたほどでした。

因みにですが、MTGではこのようなテキストの選択肢を「モード」と呼びます。以降はこの記事でも「モード」と称します。

さて、肝心のこのガンダルフのテキストなのですが、この《謎めいた命令》と似通ったところが見られます。

往年のプレイヤーに向けて歯ごたえのあるカードを用意したのでしょうか。上級者向けの調整になっていると感じます。

次項から各モードの使い方について考えていきます。


パーマネント1つを対象とする。あなたはそれをタップまたはアンタップしてもよい。

パーマネントとは戦場にあるカード全般(とトークン)のことを指します。

相手のクリーチャーをタップして攻撃を阻んだり、自分の土地をアンタップしたりという運用が、このモードの基本になりそうです。

相手ターンの「戦闘開始ステップ」に何かインスタントを唱えて、このモードを使用すれば相手のクリーチャーの攻撃を妨害することができます。

戦闘開始ステップ

戦闘フェイズの一番最初のステップ。
次のステップは「攻撃クリーチャー指定ステップ」で、ここでクリーチャーをタップしても手遅れであり、クリーチャーの攻撃は止まらない。タップで攻撃を止める場合は「戦闘開始ステップ」にタップする必要があることは覚えておこう。
こうしてタップされたクリーチャーは、次の相手のターンまでタップされたままになるので、その隙にガンダルフで攻撃することもできますね。


《考慮》のようにマナ・コストが軽くてカードを引くことができる呪文があると、各種「モード」を気軽に使うことができて便利かもです。

考慮

インスタント {青}
あなたのライブラリーの一番上にあるカード1枚を見る。あなたはそのカードをあなたの墓地に置いてもよい。
カード1枚を引く。

ただ、無意味にドロー呪文を入れるのには抵抗感があるな。
2年まえくらいのモダンでは1マナで1ドローする呪文がコントロールデッキに大量に入ってたんだけどな…
今では1マナ1ドローの呪文は《考慮》が青いデッキに4枚入っているくらいですね…
どうして減っちゃったんだろう。
冗長すぎるからじゃないか?
今のモダンは1ターン目からアグレッシブに動いていくデッキが増えたからな。1ターン目に悠長にドロー呪文で手札を調整している場合じゃなくなった。
なるほど…じゃあ、ガンダルフのためにドロー呪文を大量に採用するのは…
リスキーな構築だと思うな。かなり工夫しないと使えないカードだと思うぞ、これは。



灰色のガンダルフは各対戦相手にそれぞれ3点のダメージを与える。

使いたいモードが他にないときに使うことになりそうです。


打ち消し呪文を使ったときにこのモードを選ぶことになりそうだ。



あなたがコントロールしていてインスタントやソーサリーである呪文を1つを対象とする。それをコピーする。あなたはそのコピーの新しい対象を選んでもよい。

《稲妻》《邪悪な熱気》をコピーしてクリーチャーを2体除去したり、《考慮》をコピーして2枚カードをドローしたりといった使い方になると思います。
MTGには「カードアドバンテージ」という概念があります。 (現実にはほとんどすべてのTCGに存在する概念ですが、殊にMTGにおいて「カードアドバンテージ」は勝敗に結びつくものとして重視されています)

この「カードアドバンテージ」とは、"ゲームで使用可能なカードの枚数"および"対戦相手とのその枚数の差"のことを指します。

一般に、手札の枚数と戦場に出ている土地以外のパーマネントの枚数(とその差)が「カードアドバンテージ」とされます。


難しく聞こえるかも知れませんが、使えるカードがたくさんある方が有利なのは当然ですよね!そのことを言っているわけです。
(雑過ぎる気もするが…まあいいか。)


この"呪文をコピーする"モードは、ガンダルフからカードアドバンテージを得る手段であるため、使いどころが非常に重要になります。

基本的には先述の通り、《考慮》をコピーして手札を増やすのか、除去呪文をコピーして相手のクリーチャーを2体除去するのが基本になるでしょうが、あえてカードアドバンテージを取らない使い方をすることもありそうです。

対戦相手に直接ダメージを与えることができる《稲妻》をコピーすれば、一気に6点ダメージを与えることが可能です。

直後に何かしらの呪文を唱えて「灰色のガンダルフは各対戦相手にそれぞれ3点のダメージを与える。」も使用すれば一気に9点削ることができます。モダンでは自分自身のライフを切り詰めながら戦うデッキが多いことも相まって、9点ダメージは十分に決定打になり得る威力でしょう。



灰色のガンダルフをオーナーのライブラリーの一番上に置く。

基本的には他のモードを使い切ったガンダルフを出し直すためのモード。インスタント/ソーサリーを唱えたとき、必ずガンダルフのモードは使用しなければならないため、四度目には必ず使うことになります。デメリット能力としての側面もあるわけですね。

ガンダルフの「モード」の中で最もテクニカルで、プレイヤーの技量の現れるモードなのではないかと考えています。次項でもう少し詳しく説明していきます。



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緊急離脱にも使える四つ目のモード

四つ目のモードは《灰色のガンダルフ》が、死亡したり、除去されたりするのから守るのにも使えます。

相手が《終止》でガンダルフを除去しようとしているのにスタックして、何か適当な呪文を唱えて四つ目のモードを使えばガンダルフを山札の一番上に逃がす…といったことができるわけですね。

スタック

呪文や能力は、その効果が発生する前に一度スタックと呼ばれる領域に置かれる。
どのプレイヤーもスタックにある呪文や能力の上に乗せる形で、さらに呪文や能力を使うことができる。 だれもスタックの上に新しい呪文や能力を乗せなくなったら、スタックの一番上ある呪文や能力から順番に解決していく。
公式サイトのページで確認すると分かりやすいと思います
カード・アドバンテージを得ることはできませんが、ゲームを決める上で重要なフィニッシャー・カードを失わずに済むのはありがたいですね。

このテクニックは戦闘時にも応用可能です。

相手の攻撃クリーチャーをガンダルフでブロック→
ブロック・クリーチャーの宣言後に適当な呪文を唱える→
四つ目のモードを使用してガンダルフを山札に逃せば、
ガンダルフにブロックされたクリーチャーは、プレイヤーにもガンダルフにも戦闘ダメージを与えることができません。


こ、これって…
あのシーンの再現になるな。


『ここは通さぬ!』って言いながら使わないとですね…!
うるさいからやめてくれよな。
…。



《溶岩の投げ矢》と相性が良いかも

タップアウトした状態では(通常は)呪文をキャストすることはできないため、ガンダルフを逃がすこともできません。タップアウトする可能性の高い、"召喚後~次の自分のターン"の間がガンダルフの弱点になってしまいます。

タップアウト

プレイヤーがコントロールする土地がすべてタップしていること。日本語圏ではフルタップとも。
良調整だとはおもいますが、流石に何かしらカバーする施策を打っておきたい程度には辛い弱点でもあります。

そもそも5マナという重たいマナ・コストですから、デッキに複数採用するのも難しいため、除去されてしまうと決め手に困ることになります。タフネスも《激情》の射程圏内であり、登場時誘発で仕事をするわけでもないので、普通に返しのターンで除去されてしまうと目も当てられません。

激情

クリーチャー — エレメンタル・インカーネーション {3}{赤}{赤}
3/3
二段攻撃
激情が戦場に出たとき、望む数の、クリーチャーやプレインズウォーカーを対象とし、4点分をあなたの望むように割り振る。これはそれらにその割り振ったダメージを与える。
想起―あなたの手札から赤のカード1枚を追放する。

想起

「想起」とは、通常のコストを支払う代わりに、指定された代替のコストを支払って召喚することができるという能力。「想起」で召喚したクリーチャーは登場と同時に墓地に置かれる(厳密には自身を生贄に捧げる)。《激情》の場合は、{3}{赤}{赤}ではなく手札1枚を追放領域において召喚しても良い。そうしたら《激情》は登場時の能力を使いながら墓地に置かれることになる。
このガンダルフの弱点をカバーするのには、マナ・コストを支払うことなく唱えられるピッチスペルが使えそうです。

個人的に注目しているのが《溶岩の投げ矢》との組み合わせ。

溶岩の投げ矢

インスタント {赤}
クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。溶岩の投げ矢はそれに1点のダメージを与える。
フラッシュバック―山1つを生け贄に捧げる。(あなたはあなたの墓地から、このカードをこれのフラッシュバック・コストで唱えてもよい。その後、これを追放する。)

《溶岩の投げ矢》は、山を生贄に捧げれば墓地からマナコストを支払うことなく唱えることができます。

《考慮》や何かしらのルーティング手段で墓地に送っておけば、ガンダルフを除去から守る布石となるため、お守りとして1~2枚一緒にデッキ採用しておくと良いかもしれません。

対戦相手を対象に取ることができるからいつでも唱えられて、繰り返し唱えることができる呪文なので、単純に"タップ/アンタップ"や"3点ダメージ"のモードを使うのにも適していそうです。


現モダン環境で採用率の高い《敏捷なこそ泥、ラガバン》を除去できるのも追い風ですね。

敏捷なこそ泥、ラガバン

伝説のクリーチャー — 猿・海賊 {赤}
2/1
敏捷なこそ泥、ラガバンがプレイヤー1人に戦闘ダメージを与えるたび、宝物・トークン1つを生成し、そのプレイヤーのライブラリーの一番上のカードを追放する。ターン終了時まで、あなたはそのカードを唱えてもよい。
疾駆{1}{赤}(あなたはこの呪文を、これの疾駆コストで唱えてもよい。そうしたなら、これは速攻を得て、次の終了ステップの開始時に、これを戦場からオーナーの手札に戻す。)

そうだな。まぁ、中堅サイズのクリーチャーを出せるデッキなら、特別に対策しなくてもラガバンは無力化できるんだが…
難しいのは《溶岩の投げ矢》を墓地に送る方法かな。
そうですか?
《ドラゴンの怒りの媒介者》を使えば簡単に墓地に落とせそうですが…

ドラゴンの怒りの媒介者

クリーチャー — 人間・シャーマン {赤}
1/1
あなたがクリーチャーでない呪文を唱えるたび、諜報1を行う。(あなたのライブラリーの一番上のカードを見る。あなたはそのカードをあなたの墓地に置いてもよい。)
昂揚 ― あなたの墓地にあるカードの中に4種類以上のカード・タイプがあるかぎり、ドラゴンの怒りの媒介者は+2/+2の修整を受け、飛行を持ち、各戦闘で可能なら攻撃する。

※《ドラゴンの怒りの媒介者》は、大量に墓地を肥やすことができて攻撃力にも優れるという非常に優秀なカード。今はまだ安価に入手できるので、『指輪物語』前に集めておくといいかもしれない。

そりゃそうなんだけどさ…
《ドラゴンの怒りの媒介者》を使うなら、当然《濁浪の執政》も入るだろ?

濁浪の執政

クリーチャー — ドラゴン {5}{青}{青}
3/3
探査(この呪文を唱える段階であなたがあなたの墓地から追放した各カードは、{1}を支払う。)
飛行
濁浪の執政は、これによって追放されてインスタントやソーサリーであるカードの枚数に等しい数の+1/+1カウンターが置かれた状態で戦場に出る。
インスタントやソーサリーであるカード1枚があなたの墓地を離れるたび、濁浪の執政の上に+1/+1カウンター1個を置く。

ですね。
じゃあ、もう《灰色のガンダルフ》が入る余地が無くないか?
普通に《ドラゴンの怒りの媒介者》と《濁浪の執政》で攻めた方が速いし手堅いと思うんだが。
あ…たしかにそうかも…
だから、《灰色のガンダルフ》はもっと純粋にコントロールに特化したデッキで使うことになると思うんだよな。
《溶岩の投げ矢》は普通に唱えて墓地に送るのか、あるいは《プリズマリの命令》でルーティングすることになるのか…そんな感じで使うことになりそうだ。

プリズマリの命令

インスタント {1}{青}{赤}
以下から2つを選ぶ。
クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。プリズマリの命令はそれに2点のダメージを与える。
プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーはカード2枚を引き、その後カード2枚を捨てる。
プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは宝物・トークン1つを生成する。
アーティファクト1つを対象とする。それを破壊する。

うーん、構築の段階で大いに悩まされそうなカードですね…



あえて《ドラゴンの怒りの媒介者》と組んでみる

あえて《ドラゴンの怒りの媒介者》といっしょに使ってみる構築もアリかもしれません。

基本は《ドラゴンの怒りの媒介者》で墓地を肥やしつつテンポデッキとして戦いつつ《灰色のガンダルフ》を召喚したところで墓地から《溶岩の投げ矢》を連打してモードを一気に使い切るという運用も面白そうです。

その場合は、《ドラゴンの怒りの媒介者》《溶岩の投げ矢》は4枚ずつ、《灰色のガンダルフ》は1~2枚の採用となるでしょうか。

墓地から1枚目の《溶岩の投げ矢》をフラッシュ・バック

一つ目のモードで土地をアンタップ

アンタップした土地からマナを出して《稲妻》を唱える

三つ目のモードで《稲妻》をコピー

墓地から2枚目の《溶岩の投げ矢》をフラッシュ・バック

二つ目のモードで相手に3点ダメージ

上記の流れで計11点のダメージが対戦相手に飛びます。ここまでにも何点かダメージが入っているでしょうし、ゲームを決めるには十分なダメージ量になるでしょう。


《死の国からの脱出》のように使ってみる感じですね…!

死の国からの脱出

エンチャント {1}{赤}
あなたの墓地にあり土地でない各カードはそれぞれ脱出を持つ。脱出コストは、そのカードのマナ・コストに「あなたの墓地から他のカード3枚を追放する。」を追加したものに等しい。(あなたはあなたの墓地から、カードをそれの脱出コストで唱えてもよい。)
終了ステップの開始時に、死の国からの脱出を生け贄に捧げる。

まぁ、その場合だと普通に《死の国からの脱出》を使えばいいんだけどな…
で、でも…
ガンダルフを使うところに意味があるというか…
まぁ、良くも悪くも"そういうカード"になってしまいそうだよな。
面白いカードだとは思うんだが…



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まとめ

今回も中つ国のビッグネームのカード、《灰色のガンダルフ》の事前レビューでした…!
テクニカルで奥深いカードだけど、メタゲームではどうなるだろうな。
分からないですね…
案外普通に「イゼット・マークタイド」デッキで1枚採用されていたりしてな…
それもあるかもですね。
ひとつ確かなことがあるとするならば…
あるならば…?
人気統率者になるってことですね…!
なるほどな。ちがいない。



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プロフィール

らすとさば
TCGプレイヤーです。主にMTGを安くカジュアルに楽しむ記事を書いています!