スターターキット収録の《まぶた無き御目、サウロン》は強力なフィニッシャーになり得るか?【指輪物語―中つ国の伝承 新カードレビュー】


こんな内容の記事です!
  • 『指輪物語―中つ国の伝承』で新たに登場するカード《まぶた無き御目、サウロン》について考える記事です。
  • どんなデッキで使えるか、どのカードと相性が良いかなどについて考察します。
  • 指輪物語からMTGを始めたい方のために、少しかみ砕いた説明も加えてあります。
  • 特別言及されていない限り、フォーマットはモダンを想定した内容となっています。

カード情報

まぶた無き御目、サウロン

Sauron, the Lidless Eye

マナ・コスト {3}{黒}{赤}
タイプ 伝説のクリーチャー - アバター・ホラー
P/T 4/4
テキスト

まぶた無き御目、サウロンが戦場に出たとき、対戦相手がコントロールしているクリーチャー1体を対象としする。ターン終了時まで、それのクリーチャーのコントロールを得る。それをアンタップする。ターン終了時まで、それは速攻を得る。

{1}{黒}{赤}:ターン終了時まで、あなたがコントロールしているクリーチャーは+2/+0の修正を受ける。各対戦相手は2点のライフを失う。





スターターキットに収録されるカード

《まぶた無き御目、サウロン》は『指輪物語-中つ国の伝承』と同時発売されるスターターキットに収録されるカード。
現時点(2023/3/20)では詳細な情報は明かされていませんが、《まぶた無き御目、サウロン》はFoil仕様で1枚のみ封入されると予想しています。

なお現時点で判明している情報は以下の通り、
  • モダンデッキがふたつ入ったセット
  • 指輪物語のカードは10枚収録(各デッキに5枚ずつ)
指輪物語のカードが少ないということは、指輪物語から始めようと考えている方には残念に聞こえるかもしれません。

ですが、それでも私個人としては新規の方にはスターターキットの購入をおすすめしたいです。

指輪物語のカードが少ないということは《稲妻》のような必須級のカードに枠が割かれている可能性が高く、むしろこの『スターターキット』を買っておくことで楽しく指輪物語のデッキを組めるようになると思われるからです。

稲妻

インスタント {赤}
クリーチャーやプレインズウォーカーやプレイヤーのうち1つを対象とする。稲妻はそれに3点のダメージを与える。

ちなみに、サウロンではない方のデッキは白緑のアラゴルンデッキとのことでした。

公式記事はこちらから
世界中で5千万人を超えるプレイヤーとファンを持つ世界最高の戦略トレーディングカードゲーム、マジック:ザ・ギャザリングの日本公式ウェブサイト。


えぇ…スターターでいきなりサウロンなのか…
サウロンといっしょにモダンをはじめましょう!
サウロンが初心者プレイヤーのお友達になるのか。
頼もしいなぁ…!



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超初心者向け解説

この項では『指輪物語』からモダンを始めたい方のために、やさしめにカードを解説しています。

「伝説」って?

同名の伝説のパーマネントは、(同じプレイヤーのコントロール下では)場に1つしか出せませないというルールがあります。

もし同じプレイヤーが同名の伝説のパーマネントを出してしまうと、片方を墓地に置くことになります。

パーマネント

戦場に出ているカードとトークンのこと。 戦場に出たクリーチャーや、アーティファクト、土地はパーマネントになる。逆に、戦場に出ていないクリーチャーはパーマネントではない。
例えば、同じプレイヤーが2体《まぶた無き御目、サウロン》を場に出してしまうと、片方の《まぶた無き御目、サウロン》を墓地に置かねばなりません。


《まぶた無き御目、サウロン》は1体しか出せないというワケですね。
まぁ、そもそもデッキに何枚も入れるようなカードじゃないから問題ないけどな。
1枚切り札として入れておくようなカードですからね。



マナ・コストは合計5点で、重い(出しづらい)カード

《まぶた無き御目、サウロン》のマナ・コストは{3}{黒}{赤}で、これは「黒いマナが1点と赤いマナが1点と、何色でもいいので残り3点のマナ」の合計5マナを用意すれば召喚できることを意味します。

このマナの合計の点数を「マナ総量」と呼ぶので、覚えておいてくださいね。

マナを出すのには土地カードが必要で、黒いマナは《沼》から、赤いマナは《山》から出てきます。

「土地」はポケカで言うところの「エネルギー」に近い要素。カードを使うのに必要な点数を支払うためのカードです。以下のように土地が並んでいれば《まぶた無き御目、サウロン》を召喚できるようになります。



詳しいことは公式の動画やティーチングのイベントで習うと良いぞ。
というワケで本題に入ります。

遊び方はこちらから
世界中で5千万人を超えるプレイヤーとファンを持つ世界最高の戦略トレーディングカードゲーム、マジック:ザ・ギャザリングの日本公式ウェブサイト。



さて、この5点というマナ総量ですが、MTGにおいては重い部類になります。《まぶた無き御目、サウロン》が使用できるフォーマットは「モダン」「レガシー」「統率者」であり、指輪物語からMTGを始める方は「モダン」と「統率者」で遊ぶことになると思います。

なので、本記事は特別の断りが無い限り「モダン」フォーマットを前提としてカードをレビューしていきます。

フォーマット

「どのようにデッキを組むか」「組んだデッキでどのように遊ぶか」についてのルールのこと。
「モダン」はゲームの展開が速いフォーマットなので、5マナのカードは「ゲーム中ギリギリ出せるか出せないか」くらいです。

デッキに入れるにしても1枚程度になるでしょう。




因みに、各マナ総量の重さについては以下のようなイメージを持っておくと良いかと思います。
  • 1マナ:軽い。モダンデッキには15~20枚ほど1マナのカードを入れておくのが一般的。
  • 2マナ:やや軽い。
  • 3マナ:やや重い。デッキに入れるのは6~8枚が多い。デッキによっては1枚も入れない。
  • 4マナ:重いがそこそこ安定してキャスト(ゲームで使うこと)できる。1枚も入っていないデッキも珍しくない。
  • 5マナ:重い。特殊な例を除いてほとんどのデッキに入っていない。
「特殊な例」というのは《激情》や《孤独》というカードです。

5マナのカードなんだけど、5マナ用意できなくても手札1枚を追放すれば除去として使えるんだよな。
だから「土地が5枚用意できなくて中々キャストできない。だから手札でダブつく」ということがないんですよね!
すごく強力なカードです…!
モダンで遊ぶなら早めに入手しておきたいカードだけど、まぁ…『指輪物語』が好きなら『指輪物語』の方に資金を注ぐことをおすすめするな。
《孤独》《激情》は強力だしレア度も高いから高額で取引されているんですよね…
『指輪物語』ファンにとっては、これを揃えるよりも『指輪物語』のキャラクターでそこそこに強いデッキを組んだ方が楽しいかもです…

除去

パーマネント(戦場にあるカードやトークン)を、戦場以外の領域に移動させること。
相手の邪魔なカードを追放したり破壊したりすること。


5マナで4/4はちょっと物足りないサイズ

パワーとタフネスの合計をマナ総量*2で割った値を「マナレシオ」と呼ぶのですが、このマナレシオが1に満たないカードは、一般にコストに対してサイズが小さいカードだとされます。

《まぶた無き御目、サウロン》のマナレシオは、
(4+4)/5*2=0.8
で、1未満。
サイズが小さめのクリーチャーということになります。

もちろん、クリーチャー・カードの性能はサイズの大きさが全てではありません。テキスト欄にどのような能力が書かれているのかということも重要な要素。

例えば、先に挙げた《孤独》や《激情》もマナレシオは0.5ほどしかありませんが、能力が非常に強力なのでさまざまなデッキで使用されています。

《まぶた無き御目、サウロン》も優秀な能力を有しているので、モダンや統率者で活躍できるカードだと思います。

サウロンの能力については、後の項で詳しく考察していきます。


先に軽く説明しておくと、サウロンの一個目の能力は「相手のクリーチャーに相手自身を一回攻撃させる」能力だな。
1ターンだけ裏切らせる感じですね!
強いクリーチャーを裏切らせることができれば、それだけで勝てちゃう可能性もあります。
普通に強い能力だよな。



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コントロール奪取が強い

《まぶた無き御目、サウロン》のひとつ目の能力は一時的なコントロール奪取。
《カーリ・ゼヴの巧技》や《初子さらい》《威圧する吸血鬼》の系譜となる能力ですね。
これらのカードを使用したことがある方なら分かると思いますが、コントロール奪取は非常に決定力に優れています。

相手のブロッカーを減らしながら、こちらのアタッカーを増やせるので、グッと攻撃の通りが良くなります。そのターンの間にゲームを決めきることができなければ、奪ったクリーチャーは相手のもとに帰ってしまうので、また攻撃の通りが悪い状態に戻ってしまうのがネックではありますが…

今回の《まぶた無き御目、サウロン》は、その「ゲームを決めきれなかった場合」にも対応できるようになっているのが特徴的なカードです。

ふたつ目の能力は起動型能力で、自身を含む味方全体のパンプアップしつつ対戦相手に2点のバーンダメージを与えます。

パンプアップ

クリーチャーのパワー/タフネスを増加させる効果。基本的にはターン終了時までパワー/タフネスを増加させる効果のことを指す。
能力を起動しながら攻撃すれば《まぶた無き御目、サウロン》だけで8点ダメージを与えることができます。6マナあれば二度起動して12点ダメージ…なのですが、除去呪文を使いながら能力を起動して攻撃しに行くのが基本になると思うので、1ターンの間に二度起動することは稀だと思います…

ブロッカーが並んでいて攻撃が通らない場合でも、バーンダメージだけで残りライフを削り切ることもできるでしょう。

然るに「コントロール奪取で決まらなかったゲームを、起動型能力で追い打ちをかけて決めきりに行く」という形で完結した能力構成になっているわけですね。

自身で能力が完結しているようなカードは、グッドスタッフとして雑にデッキに挿しても強いもの。サウロンもとりあえずビートダウンデッキに1枚挿しておけばいい仕事をしてくれるカードなのではないかと思います。


今のモダン、コントロールを奪われたら終わるクリーチャー多いからな。
そこも加味するとかなり強そうに見える。
大きいクリーチャーが多いですからね。
《濁浪の執政》を奪って攻撃しに行くだけで勝てそうです。

濁浪の執政

クリーチャー - ドラゴン {5}{青}{青}
5/5
探査(この呪文を唱える段階であなたがあなたの墓地から追放した各カードは、1を支払う。)
飛行
濁浪の執政は、これによって追放されてインスタントやソーサリーであるカードの枚数に等しい数の+1/+1カウンターが置かれた状態で戦場に出る。 インスタントやソーサリーであるカード1枚があなたの墓地を離れるたび、濁浪の執政の上に+1/+1カウンター1個を置く。

そうなんだよな。
あとは《残虐の執政官》を奪って仕返ししてやるのも面白そうだ。
相手の下に《残虐の執政官》が帰って行ったら結局ツラいことになるんだが…

残虐の執政官

クリーチャー - 執政官 {6}{黒}{黒}
6/6
飛行
残虐の執政官が戦場に出るか攻撃するたび、対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーはクリーチャー1体かプレインズウォーカー1体を生け贄に捧げ、カード1枚を捨て、3点のライフを失う。あなたはカード1枚を引き3点のライフを得る。

コントロールが帰る前に何かしらの方法で生贄に捧げることができたらいいのですが、その為に生贄用のカードを採用するのは微妙かも?
そうだなぁ…
デッキ全体をサクリファイスに寄せてもいいんだが、結局サウロン自体は何枚も入るカードじゃないからな。
《残虐の執政官》を奪えばそれだけで9点ダメージなんだから、それで相手のライフが尽きる場合にのみ奪うようにするのが賢明か。

サクリファイス(デッキ)

自分のクリーチャーを生け贄に捧げるカードを中心に構築されたデッキのこと。「アリストクラッツ」とも。
そうじゃない場合は《終止》で…
だな。

終止

インスタント {黒}{赤}
クリーチャー1体を対象とする。それを破壊する。それは再生できない。



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まとめ

というわけで《まぶた無き御目、サウロン》のレビューでした…!
まさかのビッグネームが『スターターキット』の切り札だったな。
期待できる性能だし、初心者にはおすすめできるセットになりそうだ。
ですね!
黒赤というカラーも魅力的です。黒と赤は安くモダンデッキを組みやすい色なので、そこも初心者に優しいかな。
確かに、モダンだと黒と赤が安くまとまりやすいよな。
ふたりで始めたい人はひとつのキットを分け合うんじゃなくて、ふたつキットを買った方がいいのか?
そう思います。
《契り結びし、アラゴルンとアルウェン》の性能も微妙ですし…

契り結びし、アラゴルンとアルウェン

伝説のクリーチャー - 人間・エルフ・貴族 {4}{緑}{白}
3/6
警戒
契り結びし、アラゴルンとアルウェンが戦場に出るか攻撃するたび、あなたがコントロールしていてこれでない各クリーチャーの上にそれぞれ+1/+1カウンター1個を置く。あなたは、あなたがコントロールしていてこれでないクリーチャー1体につき1点のライフを得る。

アラゴルン…多分エルフのマナ・クリーチャーから召喚するデッキになるんだろうが、今のモダンだとそういうデッキは《激情》に喰われるからなぁ…
エルフを並べて出すのであれば、もっと魅力的な大型クリーチャーがいるのもシビアなところですね。そもそもエルフデッキであれば《遺産のドルイド》を絡めて半永久的にクリーチャーを展開するコンボだけで勝てますし…

マナ・クリーチャー

マナを生成することができるクリーチャーのこと。《ラノワールのエルフ》《極楽鳥》が有名。
まぁ…そうなんだよな。マナ・コストが重い割には物足りない…
とはいえ、+1/+1カウンターをバラまきつつ、大量ライフゲインを狙える効果自体は強力だからな。警戒と高いタフネスも相まって一気に相手を引き離せる。
何かのデッキで役割を持てそうでもあるんだよな…
《正義の戦乙女》のようなライフ参照のカードをあわせて採用すると、面白いデッキになるかもですね。

正義の戦乙女

クリーチャー — 天使・クレリック {2}{白}
2/4
飛行
天使やクレリックのうちこれでない1体があなたのコントロール下で戦場に出るたび、あなたはそのクリーチャーのタフネスに等しい点数のライフを得る。
あなたのライフ総量が初期ライフ総量よりも7点以上多いかぎり、あなたがコントロールしているすべてのクリーチャーは+2/+2の修整を受ける。




『指輪物語』楽しみですね!
こんな優秀なクリーチャーがスターターキットに付いてくるってワクワクするなぁ。
今後も『指輪物語』からモダンを始める方向けの説明を交えつつカードレビューを行っていきます。
また是非来てくださいね…!
それじゃあ、またな!



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プロフィール

らすとさば
TCGプレイヤーです。主にMTGを安くカジュアルに楽しむ記事を書いています!