【兄弟戦争 新カードレビュー】軍備放棄


こんな内容の記事です
  • 新セット『兄弟戦争』に収録されるカードへの事前評価です。
  • 本記事の内容はあくまで私個人の予想なので、参考程度にご覧くださればと思います。

軍備放棄

マナ・コスト {白}
タイプ ソーサリー
テキスト

マナ総量があなたのコントロールしている平地の枚数以下であるクリーチャー1体を対象とする。それを追放する。それのコントローラーは3点のライフを得る。


調整版《剣を鍬に》がやってきた!

最強の除去呪文の1枚に数えられる《剣を鍬に》

エターナルフォーマットのみで使用できる除去呪文で、わずか1マナでクリーチャー1体を追放することができます。

剣を鍬に

インスタント {白}
クリーチャー1体を対象とする。それを追放する。それのコントローラーは、それのパワーに等しい点数のライフを得る。

もちろんデメリットもありますが、追放されたクリーチャーのパワーの値だけ、対戦相手のライフを回復させるというもの。
(厳密には、追放されたクリーチャーのコントローラーのライフを回復させるデメリット。なので、自身のクリーチャーを追放して、自身のライフを回復することも可能です。)

1マナの確定除去呪文という破格のスペックに対して、数点のライフ回復は釣り合うデメリットではないのは明らか。

「剣を鍬に」は、イザヤ書二章四節

「主は国々の争いを裁き、多くの民を戒められる。 彼らは剣を打ち直して鋤とし、槍を打ち直して鎌とする。 国は国に向かって剣を上げず、もはや戦うことを学ばない。」

からの引用だと思われます。

今回の「軍備放棄」というネーミングにも、「剣を鍬に」に近いニュアンスを感じますね。

フレイバーテキストの「彼女はこの後も生涯にわたり刃を振るうだろう。だがそれは決して戦争のためにではない。」というのも、「剣を鍬に」を意識したもののようです。
この場合の「刃」というのは、イラストにも描かれている鎌のことでしょうね。

戦場を去った兵士は鍬…ではなく鎌を振るって穀物を収穫するのでしょう。
性能だけでなく、イラストやネーミングにおいても《剣を鍬に》を打ち直したようなカードになっているわけですね。
30周年にふさわしい素敵なデザインのカードだと思います。


まさかの《剣を鍬に》リメイクか…
《剣を鍬に》は本当に強いよな。
ライフ数点じゃクリーチャーの穴埋めにはならないですからね…
もちろん、アグロデッキとかだと、数点のライフ回復が勝敗の分かれ目になったりすることもあるんですけども。
逆に言えば、アグロじゃないデッキだったらデメリットがないということでもあるからな。
そもそも盤面を制圧してから勝ちに行くコントロールデッキだと、入れない理由がない。
アグロでも1マナ追放は強いので、やっぱり採用されてたり…
そうなんだよな。
今回の《軍備放棄》は大型クリーチャーを除去しにくそうではあるが、1マナで追放除去という理不尽はしっかり引き継いでいるという…



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過去にもあった《剣を鍬に》調整版

過去にはで登場した《流刑への道》というカードがありました。

流刑への道

インスタント {白}
クリーチャー1体を対象とする。それを追放する。それのコントローラーは「自分のライブラリーから基本土地・カード1枚を探し、タップ状態で戦場に出す。その後、ライブラリーを切り直す。」を選んでもよい。

《剣を鍬に》のデメリットがライフを与えることなのに対して、《流刑への道》のデメリットは基本土地1枚を与というもの。追放されたクリーチャーのコントローラーは、山札から基本土地1枚をサーチして戦場に出すことができます。

このとき肝となるのが、基本土地指定であること。
そもそも基本土地が2~3枚しか入っていない4~5色のデッキ相手には、ノーデメリットで除去を撃つことも可能でした。

また、「味方クリーチャーを追放して土地をサーチし、マナスクリューから脱する」という運用ができるのも本家にはない魅力です。

土地にせよライフにせよ、もらってもカードアドバンテージに直結しないものである点は同じです。

《流刑の道》も《剣を鍬に》と同様に、強力なのにデメリットが小さい除去呪文としてモダン環境で広く採用されていました…『モダンホライゾン2』が出るまでは。

『モダンホライゾン2』で急激な環境の高速化したモダンは、2マナのカードが主力だった環境から1マナのカードがデッキの大半を占める様な環境へと移行しました。

2マナのカードが主力だったモダンでは「1マナ」はアクション1/2回分の価値を有していたわけですが、1マナカードの採用が増えた『モダンホライゾン2』以降では「1マナ」はそのままアクション1回分に相当するように。
ゆえに「土地1枚を与える」というデメリットが無視できないほど大きくなってしまった《流刑への道》は、退潮を余儀なくされてしまいました。

加えて、《孤独》や《虹色の終焉》のような優秀な除去呪文が登場したことも、《流刑への道》の立ち位置を苦しくした感があります。



最近基本土地がほぼ入っていない4色~5色デッキがモダンで流行ってるから、《流刑への道》をノーデメリットで使える対面自体は増えてるんだけどな…
でも単色や2色デッキの対面で、相手に土地をあげちゃうのを思うと厳しいですよね…
中盤以降に大型クリーチャーを1マナで飛ばせるのはすごく強力なのですが…
だなぁ…
あと、《力線の束縛》の登場でますます分が悪い。
あちらはクリーチャーではなくパーマネント指定ですからね…

力線の束縛

エンチャント {5}{白}
瞬速
版図 — この呪文を唱えるためのコストは、あなたがコントロールしている土地の中の基本土地タイプ1種類につき1少なくなる。 力線の束縛が戦場に出たとき、対戦相手がコントロールしていて土地でないパーマネント1つを対象とする。それを、力線の束縛が戦場を離れるまで追放する。

《虹色の終焉》もパーマネント指定だったけど、こっちはコストが重かったし、6マナ以上のクリーチャーには無力だったからな。その点でまだ棲み分けできなくもなかった。
《力線の束縛》はマナまで軽いですからね…
でも《力線の束縛》とはちがって《流刑への道》は単色でも使いやすいメリットがあります。 今後はそこで棲み分けるようになるのでしょうか?
その「単色で使いやすい」を《軍備放棄》に喰われるんだろ。
あ…。
《流刑への道》にはインスタントの優位性が残ってるし、《濁浪の執政》みたいなマナコストの大きいクリーチャーにも対応しやすいからな。
完全に取って代わられることもないとは思うが、それにしてもここ2年で追放除去の選択肢は豊富になったな…

濁浪の執政

クリーチャー - ドラゴン {5}{青}{青}
3/3
探査(この呪文を唱える段階であなたがあなたの墓地から追放した各カードは、1を支払う。)
飛行
濁浪の執政は、これによって追放されてインスタントやソーサリーであるカードの枚数に等しい数の+1/+1カウンターが置かれた状態で戦場に出る。 インスタントやソーサリーであるカード1枚があなたの墓地を離れるたび、濁浪の執政の上に+1/+1カウンター1個を置く。

その方が構築の幅が出て楽しかったりはしますけどね。





対抗馬との比較

虹色の終焉

ソーサリー {X}{白}
収斂 ― 土地でないパーマネント1つを対象とする。それのマナ総量がこの呪文を唱えるために支払われたマナの色の数以下なら、それを追放する。

『モダンホライゾン2』で登場した、新たな追放呪文のスタンダード。

パーマネント指定なので、クリーチャーに限らずエンチャントやアーティファクトを追放することも可能。

ただし、支払ったマナの「色の数」以下のマナ総量のパーマネントしか対象に取れないので、高いマナ総量の相手を追放するにはコストがかさみますし、6マナ以上を対象にとることはできません。
とにかく平地が並んでいればマナ総量の大きなクリーチャーでも1マナで追放できる《軍備放棄》とは、ここで差別化することになるでしょうか。


《虹色の終焉》は多色地形がなければ使用できませんでしたが、《軍備放棄》は白単でも使えますからね。
逆に《軍備放棄》は多色だと使いづらい…ということもなさそうなんだよな。
平地タイプを持つ土地はたくさんありますからね。
《神聖なる泉》だったり《ラウグリンのトライオーム》だったり…


そうそう。
3マナくらいまでなら、多色デッキでも射程に収めることができそうだ。



冥途灯りの行進

インスタント {X}{白}
この呪文を唱えるための追加コストとして、あなたはあなたの手札にある望む枚数の白のカードを追放してもよい。この呪文を唱えるためのコストは、これにより追放されたカード1枚につき{2}少なくなる。
アーティファクトやクリーチャーやエンチャントのうちマナ総量がX以下である1つを対象とする。それを追放する。

モダン、パイオニアでも使用されている除去呪文。

Xコスト、クリーチャー以外も対象にとることができるなど、《虹色の終焉》との共通項が多く、同カードを意識したデザインであることが伺えます。

呪文の対象に土地は含まれていませんが、「土地を対象にできない」とも書いていないので「アーティファクト・土地」や「エンチャント・土地」を追放することができます。

《軍備放棄》と同様に単色で使用できる追放除去なのですが、追加コストとして手札を追放しないとマナコストが重くなってしまうのがネック。
1マナのクリーチャーを追放するのに2マナ必要になってしまうので、手札の追放なしで使用するとワンテンポ遅れた対応になってしまいがちです。


プレインズウォーカーを追放できないので注意です。
日本語名だと「冥途」となっているが、原語だと"Otherworldly"だからな。
異世界に連れていく呪文なのかもしれない。
だとすると、プレインズウォーカーに効かないのも頷けるな。
あ…普通にプレインズウォークして戻って来れちゃう?
そういうことなのかもな。



ポータブル・ホール

アーティファクト {白}
ポータブル・ホールが戦場に出たとき、対戦相手がコントロールしていてマナ総量が2以下で土地でないパーマネント1つを対象とする。ポータブル・ホールが戦場を離れるまで、それを追放する。

本体がアーティファクトなので、「親和」などアーティファクトのシナジーを活用するデッキで採用される追放除去。

3マナ以上のパーマネントを追放できる点では《軍備放棄》に優位性が、クリーチャー以外も対象にできる点で《ポータブル・ホール》に優位性があり、今後も併用されていくことになりそうです。



力線の束縛

エンチャント {5}{白}
瞬速
版図 — この呪文を唱えるためのコストは、あなたがコントロールしている土地の中の基本土地タイプ1種類につき{1}少なくなる。 力線の束縛が戦場に出たとき、対戦相手がコントロールしていて土地でないパーマネント1つを対象とする。それを、力線の束縛が戦場を離れるまで追放する。

現在進行形でモダンで大活躍している除去呪文です。

基本土地5種類をそろえていれば1マナで使用できる追放呪文で、土地以外のあらゆるパーマネントを対象に取ることができます。

フェッチランドからトライオームショックランドを持って来ることができるモダンでは、2~3ターンで基本土地5種類をそろえることが可能。
そのため、モダン以下の環境での《力線の束縛》はほぼほぼ1マナ呪文。僅か1マナであらゆるパーマネントが追放できる、非常に強力な除去呪文として運用されています。


基本コイツが最強だからな。
《軍備放棄》は《力線の束縛》が使えないデッキで使うことになりそうだ。
…となると、やはり単色デッキでしょうか?
だろうな…
フェッチランドとトライオームで5色化すると《血染めの月》に壊滅させられるリスクがあるから、それを嫌がった2色デッキの使い手が《軍備放棄》の方を優先するということもあるかもしれない。

血染めの月

エンチャント {2}{赤}
基本でない土地は山である。

なるほど…デッキや好みのあわせて白の除去を使い分ける時代になったわけですね…
《流刑への道》一択だったかつてのモダンからは想像できない状況だよな。



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総括

事前評価
シングル価格
200
※シングル価格は2022/11/13の晴れる屋での価格


《軍備放棄》がプレリリースで当たったから使ってみたのですが…
プレリリースで出たのか、ラッキーじゃないか!
ミュレルもロランも出ましたよ…!


おぉ…カードパワーすごいな…
それで使用感はどうだったんだ?
除去としてかなり信頼できる印象です。
ただ、3点回復させるのがキツイですね…
なるほど、リミテッドのスピードでも辛いのか…?
3点回復は意外と大きくて、キルターンが1ターン伸びてしまうことが多いですね…
その勝ちきれなかった1ターンで旗色が悪くなるゲームが2回くらいありました。
ああ…なるほどな。
下環境の白いアグロで採用されるかと思っていましたが、アグロで使うのはやっぱりシビアかもしれませんね。
今《虹色の終焉》を入れている多色デッキが、いくらか《軍備放棄》にスロットを割く方が現実的な運用か。
あくまでリミテッドで使ってみただけの所感なのであまり参考にはなりませんが、そんな気がします。



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プロフィール

らすとさば
TCGプレイヤーです。主にMTGを安くカジュアルに楽しむ記事を書いています!