【兄弟戦争 新カードレビュー】ファイレクシアの肉体喰らい


こんな内容の記事です
  • 新セット『兄弟戦争』に収録されるカードへの事前評価です。
  • 本記事の内容はあくまで私個人の予想なので、参考程度にご覧くださればと思います。

ファイレクシアの肉体喰らい

マナ・コスト {7}
タイプ アーティファクト・クリーチャー — ファイレクシアン・ワーム
P/T 7/5
テキスト

試作―{1}{黒}{黒} 3/3
(あなたはこの呪文を、異なるマナ・コスト、色、サイズで唱えてもよい。これは能力とタイプを保持する。)

威迫、絆魂

護法―ファイレクシアの肉体喰らいのライフに等しい点数のライフを支払う。


新たなるキーワード能力「試作」

ふたつのキーワード能力に除去耐性、まるで《ワームとぐろエンジン》を彷彿とさせる性能ですが…

ワームとぐろエンジン

アーティファクト・クリーチャー — ワーム {6}
接死、絆魂
ワームとぐろエンジンが死亡したとき、接死を持つ無色の3/3のワーム・アーティファクト・クリーチャー・トークンを1体と、絆魂を持つ無色の3/3のワーム・アーティファクト・クリーチャー・トークンを1体生成する。
6/6

テキスト欄のレイアウトが見慣れないものになっているな。
「試作」…新しいキーワード能力みたいですね。

「試作」とは?

「試作」は『兄弟戦争』で新たに登場するキーワード能力。
「試作」を持つクリーチャーは、通常のマナ・コストとは別に「試作」で指定されたマナ・コストで召喚することができます。

こうして「試作」コストで召喚したクリーチャーは、能力はそのままに、通常とは違うマナ・コスト、サイズ、色を持った状態で場に出ます。



ひとまわり小さいサイズで召喚できる…ということでしょうか?
だな。
挙動自体はちょっと複雑だが、「試作品だから一回り小さく作る」というフレーバーなんだろう。
試作で召喚したときに色とマナ・コストが変化したままになるというのは要注意ですね。
珍しい挙動なので、混乱する方も多そうです。
たしかに、今まではそういうのは「キッカー」と「+1/+1カウンター」で表現してたしな。

キッカー

追加のコストを支払うことで、呪文に追加の効果を加える能力。
《血の長の渇き》など

今回は少ないマナコストで出すときに有色マナを要求したかったので、このようなデザインになったのでしょうね。
「キッカー」だと、「大きいマナコストで出すときに有色マナを追加で要求する」というデザインしかできないからな。
「試作」をわざわざデザインしたのを見るに、無色アーティファクトの比率が大きいセットを作りたかったのかもしれないな。





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注目されるブリンクとのコンボ

「試作」と《ファイレクシアの肉体喰らい》に関して、いま耳目を集めているのがブリンクとのコンボ。

ブリンク

パーマネントを追放した後再びそれを戦場に戻すという効果を指す言葉。「明滅」とも。
最近では《儚い存在》が有名。

「試作」コストで召喚した《ファイレクシアの肉体喰らい》をブリンクすれば、試作品ではない通常の《ファイレクシアの肉体喰らい》になって帰ってくるのではないかと考えられており、これが本当であればモダンでも一線級の活躍を見せるカードになりそうです。

このように考えられる根拠になっているが、ブリンク呪文の「追放されて戻ってくるパーマネントが新しいオブジェクトとして扱われる」という挙動。

新しいオブジェクトになる際に以前の状態をリセットされるため、ブリンクすれば「試作品であった」という状態もリセットされるのではないかと考えられているわけですね。



このルールを利用したのが、モダンのエレメンタルデッキだよな。
ですね。
既存のルールや裁定から考えれば、試作したクリーチャーをブリンクすれば、試作品ではない通常のクリーチャーが出てくることになりそうです。
まぁ、まだリリースノートが出てないから確定ではないんだけどな。
これにあわせてルール変更という可能性もありますからね。
ただ、競技環境への影響を思うとルールは据え置きになるんじゃないかと思います。
ブリンク前後で状態を保持するようになると、例の「エレメンタル」デッキが潰れかねないからな。
今モダンでメタデッキの一角を潰すのは悪手だろうな。
「マネーパイル」を潰すと反発も大きいでしょうしね…

マネーパイル

「4Cブリンク」ないしは「4Cエレメンタル」の別称。日本では「レン&オムナス」とも。
構築に20万円を越えるほどの資金が必要であることに因む命名。

そりゃそうだ。
大枚はたいて作ったデッキがオシャカになれば、誰だっていい気はしないだろう。
数年間たっぷり遊び倒したならまだ諦めもつくかもですが、『モダンホライゾン2』発売からまだ17か月ですからね…
17か月…
うーん、そう聞くとちょっと微妙だな。
10万円するアイテムの耐用年数としてはまだまだ足りないが、TCG運営としてメスを入れるには十分な期間が経過してるように思える。
もっとも、《空を放浪するもの、ヨーリオン》禁止以降エレメンタルデッキもだいぶ組成が変わりましたからね。
《儚い存在》の採用も減りましたし、《孤児護り、カヒーラ》を相棒に据えて部族デッキとして尖らせたタイプとかも出てきましたし…
たしかにな。
ブリンクにテコ入れするなら今…なのか…?

孤児護り、カヒーラ

伝説のクリーチャー ― 猫・ビースト {1}{白/緑}{白/緑}
相棒 ― あなたの開始時のデッキに入っている各クリーチャー・カードが、それぞれ猫かエレメンタルやナイトメアや恐竜やビーストであるカードであること。(このカードがあなたの選んだ相棒であるなら、あなたはあなたがソーサリーを唱えられるときならいつでも {3}でゲームの外部からこれをあなたの手札に加えてもよい。)
警戒
他の、あなたがコントロールしていて猫やエレメンタルやナイトメアや恐竜やビーストである各クリーチャーは、それぞれ+1/+1の修整を受け警戒を持つ。
3/2





そもそも小細工無しで強いパワーカードかもしれない?

そもそも、3マナの3/3で「威迫」「絆魂」「護法―ライフ3点」の時点で強いですよね。

護法

護法 [コスト] は、「このパーマネントがあなたの対戦相手がコントロールする呪文や能力の対象になるたび、そのプレイヤーが[コスト]を支払わないかぎり、その呪文や能力を打ち消す」という誘発型能力。

だよな。
ただ、すでに《墓地の侵入者》があるのを思うと、雑にパワーカードとして使えるかは怪しい気もする。

墓地の侵入者

クリーチャー ― 人間・狼男 {2}{黒}
護法—カード1枚を捨てる。
墓地の侵入者が戦場に出るか攻撃するたび、墓地にあるカード最大1枚を対象とする。それを追放する。これによりクリーチャー・カードが追放されたなら、各対戦相手はそれぞれ1点のライフを失い、あなたは1点のライフを得る。
日暮(プレイヤーが自分のターンに呪文を唱えなかったなら、次のターンに夜になる。)
3/3

墓地の大食い

クリーチャー ― 狼男
護法—カード1枚を捨てる。
墓地の大食いが戦場に出るか攻撃するたび、墓地にあるカード最大2枚を対象とする。それらを追放する。これにより追放されたクリーチャー・カード1枚につき、各対戦相手はそれぞれ1点のライフを失いあなたは1点のライフを得る。
夜明(プレイヤーが自分のターンに2つ以上の呪文を唱えたなら、次のターンに昼になる。)
4/4

あちらは墓地対策もできますし、「護法-カードを1枚捨てる」のおかげでほぼ確実にアドバンテージが取れますからね。
単純な3マナクリーチャーとしての仕上がりでは《墓地の侵入者》に軍配上がる印象だな。
1枚で墓地対策もライフゲインもできて、クロックも4点あるし、しかも誘発型能力で変身できるオマケつき。
うーん、競合としてはやはり手ごわいですね…
スタンダードでも《精霊界との接触》でブリンクできるし、やっぱりブリンクをデッキで組み込むか否かで棲み分けることになりそうなんだよな。
《不死なる悪意》でも似たようなことできるしな。


精霊界との接触

エンチャント {2}{白}
精霊界との接触が戦場に出たとき、アーティファクトやクリーチャーのうち最大1つを対象とする。精霊界との接触が戦場を離れるまで、それを追放する。
魂力 — {1}{白}, 精霊界との接触を捨てる:アーティファクトやクリーチャーのうち1つを対象とする。それを追放する。次の終了ステップの開始時に、それをオーナーのコントロール下で戦場に戻す。





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モダンでいろんなデッキに採用されそう

ラクドス・ミッドレンジ

噛み合いそうなアーキタイプが多いことから、《ファイレクシアの肉体喰らい》はモダンでの活躍も期待されています。

まず採用候補として有力なのが、ラクドス・ミッドレンジ
《フェイン・デス》や《不死なる悪意》で《悲嘆》や《激情》を疑似的にブリンクするギミックを搭載したアーキタイプです。


この《フェイン・デス》や《不死なる悪意》で試作品の《ファイレクシアの肉体喰らい》を守った場合も、墓地から試作品ではない《ファイレクシアの肉体喰らい》が戻って来ます。

このとき《フェイン・デス》《不死なる悪意》の効果で+1/+1カウンターが乗った状態で戻ってくるので、「護法」はライフ8点の支払いを要求するように…

ライフ8点のロスはゲームエンド級の威力ですし、それが嫌で除去せずに放置していたら毎ターン「絆魂」で8点ずつライフを回復されてしまう始末。

「試作」で出て来たのを追放除去してしまえば安全に対処できますが、それができないアーキタイプは(つまり白くないデッキは)大いに苦戦することになりそうです。


やっぱり「絆魂」持ってるのがヤバすぎるんだよな。
「護法」持ってるから除去してもライフを失いますし、「絆魂」を持ってるから除去しなくてもダメージレースで引き離されていきますからね…



トロン

「追放除去で寒い思いをしている《ワームとぐろエンジン》の代わりに「トロン」に採用すると強いのでは?」という意見も耳にします。

現状のモダンでは5C系デッキが《力線の束縛》を使用するため、《ワームとぐろエンジン》の死亡時誘発が活かせないことがしばしばあるので、除去されても「護法」でライフを支払わせて優位に立てる《ファイレクシアの肉体喰らい》を優先したいということなのでしょう。

力線の束縛

エンチャント {5}{白}
瞬速
版図 — この呪文を唱えるためのコストは、あなたがコントロールしている土地の中の基本土地タイプ1種類につき{1}少なくなる。 力線の束縛が戦場に出たとき、対戦相手がコントロールしていて土地でないパーマネント1つを対象とする。それを、力線の束縛が戦場を離れるまで追放する。

6マナの《ワームとぐろエンジン》に対して《ファイレクシアの肉体喰らい》は1マナ重い7マナですが、ウルザ土地が揃えば7マナ捻出できるので使用感はさほど変わらなさそうです。

その点でも、《ワームとぐろエンジン》の枠に《ファイレクシアの肉体喰らい》入れるのは良さそうですね。




リアニメイト

「リアニメイト」デッキで、リアニメイトしなくても強く使えるリアニメイト先として使えるかもしれません。

採用するなら《時を解す者、テフェリー》の枠に《ファイレクシアの肉体喰らい》が収まる形になるでしょうか。

時を解す者、テフェリー

伝説のプレインズウォーカー ― テフェリー {1}{白}{青}
各対戦相手はそれぞれ、自分がソーサリーを唱えられるときにのみ呪文を唱えられる。
+1:あなたの次のターンまで、あなたはソーサリー・呪文を、それが瞬速を持っているかのように唱えてもよい。
-3:アーティファクトかクリーチャーかエンチャント、最大1つを対象とし、それをオーナーの手札に戻す。カードを1枚引く。
[4]

現在の「リアニメイト」はエスパーカラーで《儚い存在》による《悲嘆》や《孤独》のブリンクも盛り込んだ構築になっていますが、この《儚い存在》を《ファイレクシアの肉体喰らい》の試作品を通常版に変えるのにも使うこともできますね。


《残虐の執政官》と入れ替わる可能性も考慮しましたが、《残虐の執政官》は登場時能力も強いし場に居座っても強いしで、リストから抜けそうにないと思い直しましたね…
アレはリアニメイトデッキの大黒柱みたいなカードだからな。
《儚い存在》も《霊気魔道士の接触》も《残虐の執政官》があれば滅茶苦茶強く使えるし、とにかく高性能だから多少無理してでもリアニメイトするバリューがある。

残虐の執政官

クリーチャー ― 執政官 {6}{黒}{黒}
飛行
残虐の執政官が戦場に出るか攻撃するたび、対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーはクリーチャー1体かプレインズウォーカー1体を生け贄に捧げ、カード1枚を捨て、3点のライフを失う。あなたはカード1枚を引き3点のライフを得る。
6/6





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総評

事前評価
予想シングル価格
3000

事前評価 5/5

《ファイレクシアの肉体喰らい》は、対処したら痛手を負うことになるライフペイの「護法」と、対処しなければ勝利が遠のく「絆魂」が同居するという理不尽が、たった一つのテキスト欄の中で完結している驚異的なカードです。

そしてこの「理不尽」は《ファイレクシアの肉体喰らい》が試作品でなくなったときゲームエンド級の威力になります。

「毎ターン7点ゲインを許すか、それを許さず7点のライフを支払うか」という難しい選択を相手に強いることができるカードのように見えますが、そもそも最善の選択をしたとしてもどうにもならない状況も多いのではないでしょうか。

ブリンクによる強烈なコンボの存在と、既存アーキタイプとの親和性の高さなど活躍の素地も十分。
非常に期待できるカードだと評価しています。


予想シングル価格 ¥3000(トップレア級)

複数のアーキタイプで採用され、なおかつトップメタのアーキタイプでの採用もあり、単体のカードパワーも高く、神話レアであるために流通量も少ない…発売後に《ファイレクシアの肉体喰らい》が落ち着くであろう立ち位置は、現状の《残虐の執政官》の立ち位置に似通ったものになりそうです。

《残虐の執政官》はブースターパックが高額な『モダンホライゾン2』の出身で、これが原因で一層高額になっているものと思われます。

《残虐の執政官》と《ファイレクシアの肉体喰らい》とでは封入されているブースターパックの値段に倍近い差があるので、一見するとこれが原因でシングル価格に差が生まれそうですが、そうはならないと予想します。

というのも《ファイレクシアの肉体喰らい》にはスタンダード・パイオニアでも使用可能であるという、モダン以下でしか使用できない《残虐の執政官》にはない需要があるから。
パックの価格差は、上フォーマットでの需要によって埋め合わせられるのではないかと思います。

これらのことから、《ファイレクシアの肉体喰らい》のシングル価格は《残虐の執政官》に近い価格へと落ち着いていくのではないかと予想しました。





《ファイレクシアの肉体喰らい》は期待大だと思います…!
ここしばらくの通常セットは本当にカードパワー高いよな…
そろそろ《稲妻》も復活するんじゃないか?
《僧院の速槍》も再録が発表されましたからね…
あり得なくもないかも。
まぁ…その意味でも、これからの発表が楽しみだな。
今回も読んでくれてありがとうな。
お付き合いいただき感謝です!
またお会いしましょう…!



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プロフィール

らすとさば
TCGプレイヤーです。主にMTGを安くカジュアルに楽しむ記事を書いています!