そもそも「格安モダン」とは?
以下のようなプレイヤーに向けて、MTGのモダンフォーマットのデッキリストを提案する内容になっています。
- これからモダンをはじめようと思っているけど、いきなりデッキに十万円もはかけられない。とりあえず安く始めるためのデッキリストがほしい。
- 普段使いのデッキとは別に、安く組めるデッキがもうひとつほしい。
これに限らず「こんなカードあるんだ」「こんなコンボやシナジーがあるんだ」などと、
純粋にリストや記事を楽しんでいただくのも大変うれしく思っております。
予算について
基本的に予算は¥15,000を基準に考えておりますが、これに限定するわけではありません。
必要に応じて¥15,000を超過することもありますし、¥10,000に満たない額でデッキリストを制作する場合もあります。
(調整中余りにも高額になってしまったデッキリストは没にするのですが、その際は¥15,000に¥5,000足した「¥20,000」という額を基準にすることが多いです。)
なぜモダンなのか?
圧倒的人気フォーマットだからです。
都市部ではあまり問題にはなりませんが、地方だとモダンじゃないと人が集まらずまともにMTGが遊べないというショップも珍しくありません。
(もっと言えば、自分の地元がまさしくそうなのです)
テーブルトップMTGとモダンがニコイチの関係にあるような地方のプレイヤーさんでも、テーブルトップMTGのコミュニティに参加しやすくなってほしいと思い、モダンフォーマットの格安構築を研究・公開しています。
「格安モダン」は競技的なリストではない
ご理解いただいているとは思いますが、格安デッキの内容は競技的ではありません。
ここでいう「競技的ではない」とは、単純に値段相応に弱いという意味ではなく、以下のような欠点を抱えていることを指します。
-
絶望的に不利なマッチアップが存在する。
-
大きな弱点がある(具体的には、「ラクドスエレメンタル」は墓地対策に脆弱で、サイドボードから墓地対策カードを用意されると極端に不利になります)
-
運への依存が大きい(例えば「瞥見ゴブリン」や「赤単ホロウワン」は上振れたときの無敵さとは裏腹に、数ゲームに一度全く何もできないゲームがあります)
ですので、「競技シーンで長く使うのに向かないけども、カジュアル指向なイベント楽しむには十分なデッキ」を格安モダンとして紹介させていている格好になります。
(より具体的に言えば、
「環境デッキともある程度戦えて、勝ちを拾いに行けるような完成度のリスト」を目指してリストの制作・調整を行っています。カジュアルイベントといえど、他のプレイヤーが持ち込むデッキの多くは環境デッキだったりするので、環境デッキとのある程度戦えることも重視しております。)
しかし当然ながら、適当に組んだフォーマットリーガルのデッキを、「格安モダン」と銘打って記事にしているとかそういったことではございません。
「格安」とは言っても高額な買い物になるため、いくつかポリシーやルールを設けて(つまりある程度のこだわりを持って)リストの制作・公開を行っております。
格安モダン、どう作ってる?
格安モダンのデッキリストは以下二通りの方法で制作・調整されています。
- 自分ないしは仲間のリアル所持リストを現実的な範囲でダウングレードした(果敢など)
- 仲間のプレイヤーと協力し、何度もプレイを行って調整を行った(ラクドスエレメンタルなど)
前者についてはそのままで、デッキのコンセプト上必須でないカードを取り除いたり、高額なサイドパーツを安価なパーツで代用するなどしてリアル所持デッキを安くアレンジしたものを紹介しています。
このときベースになるリアル所持デッキは、単色デッキであるなどの理由からそもそもメインボードの値段が安いものを選んでいます。
具体的には、「昂揚」達成のためのフェッチランドを《山》にしたり、サイドボードの《激情》を《邪悪な熱気》にするといったダウングレードを行っています。
そうすることによって失われる強さももちろんありますが、メインボードのコンセプトが瓦解する様な妥協は絶対にしないよう心掛けております。
後者は、2か月前後の期間をかけて仲間のプレイヤーとイベントや交流会をハシゴしたり、何度もフリープレイしたりしてリストの精度を高めたものになります。
もちろん、何度調整してもモノにならないリストというのもあって、数か月間調整した末にお蔵入りになったリストというのもいくつかあったりします。
そうやって環境のデッキと(常勝できはしなくても)ある程度戦えるリストに仕上げたものが、後者の「格安モダン」になります。
くり返しになりますが、「格安モダン」デッキの多くは競技プレイに耐えません。
大きな弱点がある・サイドボードを妥協している等の理由から、環境で活躍しているデッキと比較して取りこぼすマッチアップが多いのです。
しかし、モダンに(あるいはMTGに)興味を抱いてくださった方が、それを楽しむ糸口になるものだと考え記事・リストを公開させていただいております。
サイドボードはかなり妥協しています
「格安モダン」のサイドボードはかなり妥協しています。
サイドボードを妥協しているのは以下の理由から。
- MTGはサイドボードのカードは採用数が少数ではあるものの、多くのアーキタイプで広く使用されるものが多く、高額になりがちであること。
- そもそもカジュアルなプレイはBO1が多く、サイドボードをしっかり組んでもいたずらに参入障壁を高めてしまうばかりであることが多いこと。
特に後者の理由が大きく、遊ぶコミュニティによってBO3の扱いにはかなり違いがあるので、
「必要になればサイドボードを作りこめばいい」というのが本ウェブマガジンのスタンスです。
とはいえ、サイドボードを作っていないとそれはそれで困ったりもするので、極力安価で2~3種の環境デッキに刺さるサイドボードを作ることにしています。
初心者にはプレイがむずかしいリストも紹介しています
「格安モダン」記事のリストには、初心者にはプレイが難しいリストも紹介しています。
デッキの調整中に「流石にこれはプレイが難しすぎる、挙動やルールが複雑すぎる」と感じたものについては、その旨を記事に記載することもありますが、
基本的に「格安モダン」では初心者にとって扱いやすいリストであるか否かを考慮しません。
なぜ難しいデッキを公開するのか?
格安モダンデッキはどうしても各々カードのパワーが低くなりがちで、上手く個々のカードを駆使して勝ちに行く必要があります。
そのため、どうしてもシナジーやコンボが多数搭載されたデッキになってしまうのです。
このようなマニアックなサイトを訪問してまでモダンやMTGに強い関心を抱いている方なら、むずかしいリストでも自ずと乗りこなせるようになると考えており、プレイが難しいデッキも公開させていただいております。
加えて、自分がシンプルで扱いやすいリストを使用していたとしても対戦相手が複雑なリストを使用しない保証はありません。
現在のモダンにおいては一切コンボを使用しないデッキの方が少数派ですから、自分のデッキをシンプルにしようとしまいと、結局諸々のギミックについての理解する必要に迫られるというのも理由としてあります。
リストの「公開日」と「最終更新日」にご注意ください
本ウェブマガジンの格安モダンには、公開されてからかなり期間が経過しているものがあります。
かつてメタゲームが非常に安定していることで有名だったモダンですが、『モダンホライゾン2』の発売以降状況が一変し、目まぐるしくメタゲームが推移するフォーマットとなりました。
1年前、半年前、3月前のモダンでそれぞれゲーム性が大きく異なっており、古いリストは今のモダンの環境と噛み合いが悪く全然活躍できないということも考えられます。
殊に格安モダンは1枚1枚のカードパワーが低いため、メタゲームの推移によって苦しい立場に置かれることもあります。
リストを参考にする場合は、記事の「公開日」と「最終更新日」をご確認いただくようお願いいたします。
加えて、カードを購入しデッキを実際に構築する場合には、まずプロキシで使用感を確かめておくことを強くおすすめいたします。
プロキシで使用感を確かめてから購入することを強く推奨しています
「格安」といえど安い買い物ではないので、まずはプロキシでデッキの使用感を確かめてから実際にデッキを組むようにすることをおすすめしております。
というのも現在のモダンのメタゲーム推移は目まぐるしく、リスト公開時と今とでデッキを取り巻く環境が大きく変化していることがあるためです。
加えて、本ウェブマガジンで紹介していいるリストには、安価に勝つべく調整した結果、非常にクセの強いリストになっているものも多々あります。
具体的には、スタックルールをマスターしていないと動かせないほど挙動が複雑な「ラクドスエレメンタル」、時間を要するループが勝ち筋の「瞥見ゴブリン」
などがありますが、これらのデッキが肌に合わないプレイヤーは少なからずいるものと思います。
「奮発してデッキを組んでみたものの、全然自分の肌に合わなくてイライラする」ということがないよう、ひとまずプロキシで使用感を確かめるようにしてください。
免責
細心の注意を払って「格安モダン」記事を執筆・掲載しておりますが、この情報の正確性および完全性を保証するものではありません。
また、モダンの環境は過去一年本当に変化が激しく、「格安モダン」に限らずモダンの記事は情報の劣化がはやいため、予告なしに記事に掲載されている情報やデッキリストを変更することがあります。
(装飾の関係で記事の内容やレイアウトを変更する場合もあります)
当ウェブマガジンは、読者さまが記事をご覧くださったことによる損失に対して責任を負いかねます。
研究と検証を重ね、質の高い記事執筆に力を注いで参りますが、それでも至らぬところがあった場合には何卒ご容赦ください。
ポリシーとメッセージ
うすうす読者のみなさんもお気づきかと思いますが、自分は地方のプレイヤーです。
地方のMTGコミュニティが置かれた状況は切実です。
公認ショップどころか取り扱いショップも少ないため、通販以外でカードを揃えることはむずかしく、それが原因で地元ショップでシングルカードを購入しない人が多いため取り扱いショップがさらに減るという負の連鎖に陥っています。
こうした状況下では当然競技イベントも希少。
プレイヤーの絶対数も少ないためにリミテッド以外では卓が立ちづらいなど、競技環境もかなり限界に近い状況です。
私が地元で辛うじてMTGをプレイできているのは、熱意ある有志の方がどうにかコミュニティを存続させているからに他なりません。
本業カードショップでない店でどうにかWPN公認がもらえるようカードの取り扱いを行うなど、私の地元では涙ぐましい努力がなされています。
(そもそもカードショップそれ自体がないような田舎なのではないかと思われるかもしれませんが、そうではありません。
デュエマもシャドバもワンピースも毎週競技イベントが開催されているショップが複数店舗ある一方で、MTGだけが極端に冷え切っているという厳しい状況なのです…)
そうやって、どうにかコミュニティが存続している私の地元がMTGという樹木にとっての「高木限界」であるのなら、さらにもう少し田舎な地域に行けば、友人間でしかMTGをプレイできない「ツンドラ」が広漠と広がっています。
別な言い方をするなら、今自分がいる地域は(コミュニティは)、MTGというコンテンツの「廃り」の最前線に曝されています。
この「廃り」がもう一歩こちらに踏み込んでくれば、いよいよMTGを遊ぶ場所が無くなってしまうのです。
しかし、MTGというゲームは非常に参入障壁が高く、ゆえに新規参入も少ない。
新規参入が少ないということは、プレイヤーが増えないということではなく、継続的に減り続けるのに歯止めが効かないということでもあります。
プレイヤーは年を取っていきますし、趣味趣向も変わることもありますし、趣味に使える時間が無くなってしまうこともあります。
WotCやMTGに何ら非がなかったとしても、プレイヤーは自然に離脱してしまうことがあるわけです。
ゆえに、地方でMTGを遊ぶ身としては、「あと何年このゲームを遊ぶことができるか分からない」という微妙なひっ迫感を日々感じています。
少し話が逸れますが、基本的に自分がモダンをプレイする場合は、有志でコミュニティを運営なさっている方にアポイントを取って練習会に参加させていただいたり、あるいは近場のショップの常連の方とプレイさせていただいたりというのが主になります。
競技イベントは稀と言えど、人気フォーマットゆえかモダンの競技プレイヤーは少なからずいらっしゃいます。競技プレイヤーの方々は、GOLDFISHなどに掲載されるリストを参考に最先端のリストを練習会やフリープレイに持ち込まれており、腕を磨いたりリストをチューンアップして楽しむのには十分な環境はあります。
ただ、そうやって腕を上げたのをどこで発揮するのかというところに難があるわけで…
もっとMTGの魅力を広めて、全国のコミュニティを活性化できれば、「地元コミュニティに迫ってきている『廃り』を退けることができるのではないか?その結果競技イベントが増えたりもするのではないか?」などと考えたりもしました。
そうした願いをもって本ウェブマガジンを運営している時期もありました。
しかし、今はそんなこと微塵も考えていません。
これからMTGが活性化して新規にコミュニティに加わってくれる人の数よりも、今コミュニティに迫っている老化の波・値上げの波・その他諸々の「廃り」の波の方がどう考えても強いだろうことが分かってしまったからです。
ですが、何の願いも考えもなく「格安モダン」をつづけているわけではありません。
今の私の願いは、
"MTGを遊びたい人がコミュニティに加わる手助けをしたい"
ということと、
"MTGを読んで楽しむ媒体を提供したい"
このふたつです。
地方であろうと、地方でなかろうと、子供であろうと大人であろうと、職業や社会的な立場にもかかわらず、MTGを遊びたい人が楽しく遊ぶ方法を提案する。
参入するのに知恵をお貸しする。
それが今の「格安モダン」におけるモットーです。
また、こうして掲載した記事を読み物として純粋に楽しんでくださっている方もいらっしゃいます。
そうした方々に向けても、「格安モダン」を発信していきたいと思っています。
頻繁にMTGが遊べない方にも、あるいは遊べる環境がある方にも、「MTGを読んで楽しむ媒体」として「格安モダン」をお送りできれば幸いです。
2022/10/16 最終改訂